ナス科 Solanaceae
ナス科は2,500種を含む。トマトやジャガイモなども属する。
タバコ亜科 Nicotianoideae
タバコ属 Nicotiana
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ハナタバコ
学名: Nicotiana alata Link & Otto
分類: ナス科 タバコ属
原産: ブラジル
花期: 夏から秋漏斗状の花が咲く。花は5cmほどで漏斗が5裂して星形に開く。花は茎先に下から順に花が咲く(総状花序)。 草丈は30~80cmほど。 花色は白色、黄色、紫色、赤色など。 夕方から夜にかけて香りが強くなる。
本種はタバコN. tabacumの仲間で、イランでは水タバコの原料として生産されている。 このため日本タバコ産業株式会社 (JT)が、日本専売公社だった時代はハナタバコの栽培は禁止されていた。
多年草で寒冷地以外は越年できる。
ナス亜科 Solanoideae
オオセンナリ属 Nicandra
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オオセンナリ
学名: Nicandra physalodes (L.) Gaertn.
分類: ナス科 オオセンナリ属
原産: ペルー
花期: 夏から初秋花は筒状で、花弁の先が浅く5裂している。 花弁の先の方は薄紫色で、中は白色。 花弁の付け根に青色の点がある。 葉は互い違いにつき(互生)、卵型で、先が尖り、縁は大きな鋸歯。 茎は太い。 草丈は40~100cmほど。
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クロホオズキ
学名: Nicandra physalodes Violacea
分類: ナス科 オオセンナリ属
原産: ペルー
花期: 夏から初秋花は筒状で、花弁の先が浅く5裂している。 花弁の先の方は薄紫色で、中は白色。 花弁の付け根に濃い紫色の線が入るものもある。 葉は互い違いにつき(互生)、卵型で、先が尖り、縁は大きな鋸歯。 草丈は40~60cmほど。
クロホオズキはオオセンナリの園芸種で、苞には黒紫色が広がっていて、茎も黒紫色。苞の写真
キダチチョウセンアサガオ属 Brugmansia
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キダチチョウセンアサガオ
学名: Brugmansia suaveolens (Humb. & Bonpl. ex Willd.) Bercht. & C.Presl
分類: ナス科 キダチチョウセンアサガオ属
原産: 熱帯アメリカ
花期: 夏から秋太い茎が1~1.6mほど伸び、大きな漏斗状の花が開く。花弁の折り目が尖るように見える。花色は蕾の頃は黄色で開くとピンク。
エンジェルストランペットの名前で流通している。
クコ属 Lycium
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クコ
学名: Lycium chinense Mill.
Syn. Lycium rhombifolium (Moench) Dippel ex Dosch et Scriba
分類: ナス科 クコ属
原産: 中国
花期: 夏から秋薄紫色の1~2cmほどの花が咲く。花は枝と葉の付け根(葉腋)から花柄を伸ばして咲く。花は2~3個咲く。 葉は楕円形で、互い違いに付く。また花柄の付け根にも小さい葉が2~3枚付く。 枝には刺もある。 株立ち状で細い枝を1mほど伸ばし枝垂れる。
楕円形の赤い実がなる。生食もできる。果実酒にしたり、乾燥した実は中国料理の薬膳として利用され、粥にいれたり、杏仁豆腐に添えたりする。
落葉低木。樹高は1mほど。
チョウセンアサガオ属 Datura
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シロバナヨウシュチョウセンアサガオ
学名: Datura stramonium L.
分類: ナス科 チョウセンアサガオ属
原産: 中央アメリカ
花期: 夏花は稀にしか開かない。本来は漏斗状だが折りたたまれたまま。 葉は大人の手ほどあって、不規則な鋸歯。草丈は1~1.5mほど。
ダチュラとも呼ばれる。
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チョウセンアサガオ
学名: Datura metel L.
分類: ナス科 チョウセンアサガオ属
原産: 南アジア
花期: 夏漏斗状の白く大きな花が上向きに咲く。花茎は地面を這うように伸びる。
種は子どもの握りこぶし大で棘がたくさんある。
ダチュラの名称で流通している。
トウガラシ属 Capsicum
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ピーマン
学名: Capsicum annuum L. var. 'grossum'
分類: ナス科 トウガラシ属
原産: メキシコ
花期: 夏白い2~3cmの花が咲く。花弁は6裂して開く。枝と葉の付け根(葉腋)から花柄を伸ばして花が咲く。 葉は楕円形で互生する。 草丈は40~80cmほど。
ナス属 Solanum
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アメリカイヌホオズキ
学名: Solanum ptychanthum Dunal
Syn. Solanum americanum
分類: ナス科 ナス属
原産: 北アメリカ
花期: 初夏から秋一年草。草丈は15~60cm。白い小さな花。花弁が5裂して開く。雌しべが黄色い。
実は丸い緑色から完熟すると黒くなる。
イヌホオズキに似ているが、本種は花柄が一か所から数個伸びる散状花序。
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イヌホオズキ
学名: Solanum nigrum L.
分類: ナス科 ナス属
原産: ユーラシア大陸
花期: 初夏から秋一年草。草丈は15~60cm。白い小さな花。花弁が5裂して開く。雌しべが黄色い。花柄が茎先に順に並ぶ総状花序。
実は丸い緑色から完熟すると黒くなる。
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ジャガイモ
学名: Solanum tuberosum L.
分類: ナス科 ナス属
原産: 南アメリカ アンデス山脈の高地
花期: 春種イモを植えると初夏。晩夏に植えると秋。茎頂に数個の花が咲く。花弁は1枚で淡紫色、5角形。雌しべが黄色い。 葉は卵形で対生する。 地下茎が太ってイモになる(塊茎)。
あまりみかけないが、ジャガイモにも実ができます。 黄緑色でフルーツトマトに似ていて食べることもできる。
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スズメナスビ
学名: Solanum torvum Sw.
分類: ナス科 ナス属
原産: 中央アメリカ~南アメリカ
花期: 秋茎と葉の付け根(葉腋)から花茎を伸ばして多数の花が咲く(集散花序)。 葉は20cmほどの卵形で縁に大きな波状の切れ込みがある。 茎にはトゲがある。 草丈は1~3mほど。木質化してくる。
15~20mmほどの実ができる。この実は、タイではマクアプランと呼ばれ、グリーンカレーにも使われる苦み成分。
多年草。
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タマサンゴ
学名: Solanum pseudocapsicum L.
分類: ナス科 ナス属
原産: ペルー エクアドル
花期: 夏5弁の白い花が咲く。雌しべの黄色が目立つ。 ビー玉ほどの丸い実がなる。 実ははじめ緑色で、オレンジ色になり、晩秋に赤くなる。 冬の間この赤い実を鑑賞する。 フユサンゴとも呼ばれる。 白い実がなるものもある。
鉢植えなどされていたものが、こぼれ種などで逃げ出し、道の端などで自生している。
常緑低木。30~40cmほど。
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ツノナス
学名: Solanum mammosum L.
分類: ナス科 ナス属
原産: 南アメリカ
花期: 夏から秋茎と葉の付け根から花茎を伸ばして数個の花が咲く(総状花序)。 葉は大きな卵形で、縁が波状になる。また葉脈に沿ってトゲがつくこともある。 草丈は1~1.5m。
黄色い実がなる。実には突起が数個ある。 本種は花ではなくこの実を観賞用に楽しむ。
実の形状からフォックスフェイスや、カナリアナスとも呼ばれる。
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ツルハナナス
学名: Solanum laxum Spreng.
Syn. Solanum jasminoides Paxton
分類: ナス科 ナス属
原産: ブラジル
花期: 夏から秋白色と薄紫色のナスに似た花が咲く木。蔓性常緑低木。
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トマト
学名: Solanum lycopersicum L.
分類: ナス科 ナス属
原産: 南アメリカ アンデス山脈の高地
花期: 夏茎の途中から花茎を伸ばして数個の花が咲く(総状花序)。受粉すると薄緑色の実ができ熟すと赤くなる。 葉は被針形。 つるを1~3mほど伸ばす。
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ナス
学名: Solanum melongena L.
分類: ナス科 ナス属
原産: インド東部と考えられている
花期: 夏茎と葉の付け根(葉腋)から花柄を伸ばして5裂した紫色の花が咲く。雌しべが黄色。 葉は卵形または円形。 茎や葉脈が黒紫色の品種が多い。 ヘタや茎、葉などに棘があるが、棘があると刺さると痛いのと流通上で表面が傷つくのを防ぐために棘の無い品種もある。
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ヒヨドリジョウゴ
学名: Solanum lyratum Thunb.
分類: ナス科 ナス属
原産: 東アジア
花期: 夏周囲にあるものに絡まって、蔓を伸ばしていく。 花は蔓から花茎を伸ばして、枝分かれして咲く。花弁は5枚で白く、咲き始めは平開しているが次第に反ってくる。 花弁の付け根に薄緑色の斑点がある。 葉はアサガオのように3裂した葉または卵形。 蔓も葉も白い産毛に覆われている。
秋に1cmほどの赤い実がなる。
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ヒラナス
学名: Solanum melongena L. var. incanum (L.) Kuntze
Syn. Solanum integrifolium Poir.
分類: ナス科 ナス属
原産: アフリカまたはブラジル
花期: 夏から秋小さな5弁の白色または薄紫色の花が咲く。 葉は被針形で縁に波状のへこみがある。 草丈は50~80cmほど。
本種は花ではなく実を観賞用に楽しむ。 また、ナスの台木としても利用されている。
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ルリヤナギ
学名: Solanum glaucophyllum Desf.
分類: ナス科 ナス属
原産: ブラジル ボリビア アルゼンチン パラグアイ ウルグアイ
花期: 夏葉と茎の付け根(葉腋)から花茎を伸ばしよく枝分かれしてたくさん花が咲く(集散花序)。 花は淡紫色で、星形に5裂していて、花の中央に黄色い葯(やく)が印象的。 葉は長い被針形で表面が薄らと白い。
落葉低木。樹高は1~2mほど。
リュウキュウヤナギ(琉球柳)とも呼ばれる。
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ワルナスビ
学名: Solanum carolinense L.
分類: ナス科 ナス属
原産: 合衆国南東部
花期: 春から秋茎と葉の付け根(葉腋)から数個の花が咲く。 花は5角形スター形で葯が黄色い。 葉は卵形ですが縁に波状の切れ込みがある。 茎には鋭い棘がある。 花後、小さな黄色いプチトマトのような実がなる。実には毒があるため食用できない。
多年草。
ホオズキ属 Physalis
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ブドウホオズキ
学名: Physalis peruviana L.
分類: ナス科 ホオズキ属
原産: ペルー
花期: 夏茎と葉の付け根(葉腋)から漏斗状の花が咲く。花色は黄色で、基部が黒紫色。 葉は卵形またはややハート形で表面に葉脈がハッキリある。 袋状の実ができ、夏にオレンジ色になって熟す。 袋の中に黄色の実ができる。
熟した実は食用になる。ゴールデンベリーやグースベリーと呼ばれる。
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ホオズキ
学名: Physalis alkekengi var. franchetii
分類: ナス科 ホオズキ属
原産: 南ヨーロッパからアジア
花期: 夏漏斗状の白い花が5角形状に咲く。 袋状の実ができ、夏にオレンジ色になって熟す。 袋の中にオレンジ色の実ができる。
ペチュニア亜科 Petunioideae
カリブラコア属 Calibrachoa
カリブラコア属は、ペチュニア属から1990年に分離された。
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カリブラコア
学名: Calibrachoa
分類: ナス科 カリブラコア属
原産: 南アメリカ
花期: 春から秋漏斗状で開いた花が咲く。花茎を伸ばしよく枝分かれしてたくさん咲く。漏斗の内側が黄色。 花色は白色、黄色、オレンジ色、紫色など。 草丈は10~30cmほどで縦に伸びていくものと横に広がるものがある。 多年草ですが、草丈が間延びしたりウイルスにより花色が悪くなることもある。
少し花が小さめのミリオンベルという商品はサントリーが開発した。
ニーレンベルギア属 Nierembergia
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ニーレンベルギア
学名: Nierembergia frutescens
分類: ナス科 ニーレンベルギア属
原産: 南アメリカ
花期: 初夏浅い漏斗状の花が咲く。さかずき(杯)ほどの大きさ。 花色は白や淡青色などで、花弁の基部が黄色。 葉は短くて細い。
銀盃草(ギンパイソウ)とも呼ばれる。
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ニーレンベルギア・リバラリス
学名: Nierembergia rivularis L.
Syn. Nierembergia repens Ruiz & Pav.
分類: ナス科 ニーレンベルギア属
原産: 南アメリカ
花期: 初夏浅い漏斗状の花が咲く。先は5裂して、中央が黄色い。 葉はヘラ形。 草丈は10cmほどで広がるように増えるためグランドカバーとしても利用される。
以前の小種名からレペンス種とも呼ばれる。
耐暑性がそれほど高くないため盛夏に枯れてしまうことがある。
多年草。
ブルンフェルシア属 Brunfelsia
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ニオイバンマツリ
学名: Brunfelsia latifolia (Pohl) Benth.
Syn. Brunfelsia australis
分類: ナス科 ブルンフェルシア属
原産: ブラジル
花期: 初夏漏斗状の花が5裂して花が咲く。最初は濃い紫色で、次に薄紫色に変わり、最後は白くなる。強い芳香がある。
常緑低木。
ムレゴチョウ亜科 Schizanthoideae
ムレゴチョウ属 Schizanthus
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シザンサス
学名: Schizanthus x wisetonensis
分類: ナス科 ムレゴチョウ属
原産: チリ
花期: 春よく枝分かれして、茎と葉の付け根(葉腋)から花茎を伸ばして花が咲く。 花弁は多くの切れ込みがある。 花弁に黄色や茶色の斑点や模様が入るものもある。 葉は深い切れ込みがあり奇数羽状複葉のように見える。 草丈は20~50cmほど。
花色は白色、赤色、紫色、ピンクなど多い。
本種はS. pinnatusとS. retususを交配した園芸種。
日本では秋播きの一年草として扱われる。
ヤコウカ亜科 Cestroideae
キチョウジ属 Cestrum
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ヤコウカ
学名: Cestrum nocturnum L.
分類: ナス科 キチョウジ属
原産: 西インド諸島
花期: 夏~秋枝と葉の付け根(葉腋)から花茎を伸ばして円錐花序の花が咲く。 花は細い筒状で先が5裂して星状。花色は淡い黄緑色や白色。 花は夜に咲き強い芳香がある。 葉は被針形で皮質。 白い実がなる。
常緑低木。樹高は大きいと3mほど。
サルピグロッシス属 Salpiglossis
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サルピグロッシス
学名: Salpiglossis sinuata Ruiz & Pav.
分類: ナス科 サルピグロッシス属
原産: チリ
花期: 夏枝分かれして茎頂に漏斗状の花が咲く。花弁の縁が5裂している。 花色は赤色、ピンク、黄色、紫色など。 花弁に幾何学模様のつくものが多い。 葉は小さな卵形または線形で、互い違いにつく(互生)。 草丈は60cmほど。
基本的には夏咲きで、耐暑性が弱く、盛夏に枯れてしまうことがある。夏越しできれば秋にも咲く。
一年草。
ストレプトソレン属 Streptosolen
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マーマレードの木
学名: Streptosolen jamesonii (Benth.) Miers
分類: ナス科 ストレプトソレン属
原産: コロンビア エクアドル ペルー
花期: 初夏から秋細い漏斗状の蕾が5裂して咲く。花は茎頂に多数の花が咲く(散形花序)。 葉は卵形で表面にハッキリと筋があり互生する。
常緑低木。樹高は1~2mほど。横にも広がるのでこんもりとなる。
ブロワリア属 Browallia
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ブロワリア・アメリカーナ
学名: Browallia americana L.
分類: ナス科 ブロワリア属
原産: 中米メキシコ~南米
花期: 夏から秋細い漏斗状の蕾が5裂して咲く。花弁の先が凹んでおり、基部は白くて中心にやや黄色い部分があるものもある。 葉は卵形で互い違いにつく(互生)。 よく枝分かれする。 草丈は40~50cmほど。
一年草。
植物の分類について
植物の分類についてはDNAなどに基づいた最新の分類:APG IV (Angiosperm Phylogeny Group IV)を使用しています。 また、学名や分類について議論が続いているものについてはBGPlants(研究用植物データベース作成グループ作成: Data-base on the plants kept in the Botanical Garden)の成果であるYListを参考にしています。